「真夏のデイタイム」
「みなさん、こんばんは。本日も始まりました<真夏のデイタイム>の時間です。メインパーソナリティをつとめますのは、わたくしジョン小西になります。早速ですが、本日もゲストをお呼びしております。現在20代後半の若者に絶大の人気を誇るロックバンド<ノイズィー>のボーカル兼風水セラピストの吉井守さんに来ていただいております。どうも、よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
「放送時間もあまりないので、早速いろいろ質問させていただこうと思うのですが、まずノイズィーというバンド名にはどのような由来があるのでしょうか?」
「由来といいますか、もともと私の実家が名古屋市なんですが、その近くの神社にノイズィーという名前の神主さんがいましてね、そこから付けました。」
「えっと、その神主の方は外国の方なのでしょうか?」
「それはリスナーの方々の想像におまかせするところで、僕らがとやかく言うことではないと思ってるんで。」
「あっ、そうですね。まぁそのあたりは、みなさんの想像におまかせするということで。え~、それでは次の質問にいきたいと思います。ノイズィーは結成して15年目のバンドになる15人組のバンドになるのですが、結成秘話などはございますか?」
「まず、僕が高校生の頃に現在のメンバーのドラムをやってますバイオレットと同じクラスで友達だったんです。それで、なんか人生一発発起で旗を揚げたいなと思いまして、バイオレットと一緒に近くのコンビニで餃子を1パック万引きしたんですよ。」
「えっ!万引きですか?それはまずいんじゃないですか?」
「いや、まずくはなかったの。だって捕まらなかったからね。店員にはばれはしましたけど。」
「えーっ!それ完全にアウトじゃないですか?」
「えっ?何がアウトなの?そんなベースボール用語使われても僕はわからんよ。まぁでも、そんなこんなで現在のバンドがあるということになるんですよ。」
「いや、全然わかりませんよ。結局どういう経緯で音楽に触れて現在のバンド活動につながったんですか?」
「それはあれだよ。僕が中学2年のときにすごいリコーダーを吹くのが好きで。うん、それだよ。」
「なるほど、それではその時から音楽が好きだったということですね。それでどのあたりからバンドで音を出すということに興味を持たれたのですか?」
「うん、少しそれも語弊があるかもしれないんだけども、僕は音楽は好きだけど、バンドというものには興味はなかったんだよね。それは今もね。」
「それはまた重大発言ですね。それでも今こうしてバンドをすることでたくさんの人たちを引き付けているわけですけども、そのあたりはどのように思われていますか?」
「これも神様のいたずらなのかなって。そう思うようにはしているね。あっ、でも突然話が変わるようで申し訳ないんだけど、僕は今一番関心があることは、やっぱり若い人の雇用の問題ね。今若い人がネットカフェで寝泊まりしているニュースを見たんだけど、あれはほんと心いたたまれないね。僕らの時代にはネットカフェなんてものはなかったから、よく近くのコンビニのゴミ捨てのコンテナの中で寝泊まりしたもんだよ。あそこはあったかくてほんとよかったよ。」
「えっ、吉井さん自身もホームレスのような状態だったということですか?」
「いや、ホームレスというとちょっと語弊があると思うんだけど、要はお金がなくて、泊まるところがなかったんだね。」
「そうですか、ではそのような辛い体験も現在の曲作りに活かされたりされているのでしょうか?」
「そうだね、僕の歌の大半は若者の貧困を歌っているつもりなんですけどね。」
「はい、えー、ここで曲作りの話が出ましたので、今回発表される新曲についてもお伺いしてこうと思うのですが、今月二十日に発売されます新曲はミディアムバラードばかりからなるという全47曲の超特大アルバムとなっていますが、これはすごいですね」
「ええ、まぁ一曲一曲はどれも薄っぺらいものになってるんで、全部の曲を聞いていただければ、まぁ満足いただけるんではないでしょうか。」
「確かに47曲収録でも価格は税込み980円とかなりお買い得なものになっていますね。」
「はい、レコード会社も32枚組アルバムということで、かなりコストを気にされているようだったけど、100万枚売れればなんとかとんとんかなって言ってましたかね。」
「それはまたすごいですね。ではここで早速そのアルバムから厳選した一曲を紹介したいと思います。では吉井さん、曲のタイトルをお願いします。」
「はい、ノイズィーで3曲目に収録されています曲、<ナパーム弾>です。お聞きください。」